日々の業務において、介護職の皆さんが直面する困難やきつさは決して軽視できません。しかし、その中には多くの感動ややりがいが存在し、自身の成長に繋がる瞬間もあることを忘れてはいけません。本記事では、介護職の皆さんが抱えるきつさをどのように乗り越え、心豊かな仕事人生を築いていくための心構えについて、実際の体験談を交えながらお伝えしていきます。
介護職の現場は、身体的・精神的な負荷が大きく、常に限られた時間の中で多くのことをこなさなければならないという厳しい現実があります。しかし、その中で培われる人間力や思いやり、そして共に過ごす方々から得られる感謝の言葉は、きつさを感じる瞬間でも前に進む原動力となります。
実際の介護職の体験者たちの声を通じて、日々の業務における心構えや気づき、工夫を探ります。きつい状況に立ち向かうためのメンタルの整え方や、自身を守るためのケア方法、チームとの連携の大切さなど、具体的なアドバイスも交えてご紹介します。
さまざまな体験談を通じて、介護職の方々がどのようにしてきつさを乗り越え、充実した人生を歩んでいくための心の在り方を探っていきましょう。
49歳女介護職で時給950円は安すぎる
40代主婦です。
介護の仕事を半年間ほどやっていました。
本当は介護職になど就くつもりはなかったのですが、母がくも膜下出血で倒れ手術をし長い入院生活とリハビリ生活を送ったことから思い切って介護の世界に飛び込んだのです。
私が選んだのは特別養護老人ホーム。
特養なんて最も仕事量が多く大変だから迷いましたが、自宅からの距離が近かったことと施設の雰囲気が明るかったことから意を決したのです。
週4日のパート勤務で時給は950円。
飲食のパートなら時給950円は高いけれど介護職では決して高くないと実感しました。
と言うのも介護の仕事は気力体力が充実していないと出来ないからです。
体力だけあってもダメ気力だけではもちろんダメ。
とても大変な骨の折れる仕事なのです。
意思疎通の出来ない人とコミュニケーションをするのは至難の業。
それを求める上司に疲れ果てました。
私が加わったユニットには利用者が10人居ました。
認知症で家族の顔も分からない利用者も数人居てそれこそ日常会話もままならない。
車いす生活の利用者が半分でトイレ介護も大変でした。
車いす生活の利用者の中には歩けると思い込んでいる人も居ましたね・・・。
歩けるのに車いすに座るように指示されていると思い込んでいて目を離したすきに立ち上がろうとするんです。
運が悪いと立ち上がってしまいその場で転倒・・・。
転倒したら家族に報告しなければならなくて目を離したこちらが悪いと責められるわけです。
ちょっと目を離しただけでこんな感じ。
トイレを一人で出来る利用者だって目を離すと他の部屋からちょっとしたものを持ち出して自分の部屋に置いてしまいます。
盗んでいるという自覚はなさそうでした。
ただ、自分のものなのか他人のものなのかが判別できなかったのだと思います。
便をしても流さず放置。
トイレットペーパーを空になるまで引き出して床にまき散らすのも当たり前の世界でした。
950円の時給じゃ割に合わないです。
27歳女後悔しないための介護
私は特別養護老人ホームで働く介護士です。
これは私がまだ新米介護士だったころの話しです。
私が働く老人ホームにはAさん(90歳過ぎ・女性)という、とても可愛らしいおばあちゃんがいました。
Aさんは笑顔が素敵で、いつもニコニコと笑っていて介護職員の人気者でした。
けれど、ある日の朝Aさんは亡くなりました。
朝ごはんを少し食べて、そして静かに眠るように亡くなりました。
その時、早番としていたのが私でした。
私は茫然としました。
私は、人はいつか必ず亡くなるというのは知っていました。
けれど、私は心のどこかで「人は病気にならないかぎりずっと元気で、突然亡くなることはない」と思っていたところがありました。
だから、Aさんの突然の死は私にとって衝撃でした。
人は絶対に亡くなるというのは実感させられたからです。
同時に後悔が私に押し寄せました。
もっとAさんに声をかければよかった。
もっと良い介護ができたのではないのか?私はAさんにとってよい介護士だったのだろうか?とたくさん後悔しました。
そして、私は「もう後悔したくない」と思いました。
私は、その日その時、最善の介護をしようと心に誓いました。
特別養護老人ホームは基本的には健康ではない人が利用するため、今元気でも明日も元気かどうか分からない。
もしかしたら、明日亡くなってしまう可能性もあるかもしれない。
だからこそ、利用者のおじいちゃん・おばあちゃんのためにも、自分自身が後悔しないためにも、常に最善の介護をしようと思いました。
私にとっての介護の仕事のやりがいは、利用者のおじいちゃん・おばあちゃんの笑顔やありがとうと言ってもらえるところにあります。
同時に、利用者の死と向き合わなければなりません。
もし、介護職に興味がある・もしくはこれから介護職に就く人にアドバイスをするのならば、利用者の一日一日を大切にしてほしいです。
それが結果的に、利用者のためでもあり、自分自身のためにもなります。
34歳男介護職を経験して
はじめまして。
私は介護の仕事を半年ほど経験させていただきました。
結果は鬱病を患い退職することとなりましたが、貴重な経験をさせていただいたと肯定的に捉えることができればと思います。
私が介護職に就いた理由は、「世の中のために、人のために率先して、人がやりたがらない仕事をしよう。
自分が泥をかぶろう。
」という大義名分のためです。
自己啓発書に感化されたのがキッカケです。
多くの人に喜んでもらうこと。
社会に役立てる力をつけようと考えていました。
仕事内容は通所リハビリテーションでの介護業務全般でした。
移動時や、排泄、入浴での介助。
車での送迎やレクリエーション企画の考案、や実施。
食事や飲み物の配膳。
利用者様との雑談などが主な仕事でした。
学生時代に運動部に所属していた私には体力的にはかなり楽に感じました。
しかし精神的にはハードな仕事でした。
人の命を預かっているという重圧。
低賃金。
40代の女性が中心という職場。
もちろん、きちんとした研修制度はありません。
社会的に不安定な身分。
私は鬱病を患い、わずか半年で退職をするという流れになりました。
その時の心情といたしましては、「ここまで世の中のために犠牲になったのに」でした。
何も残らないまま、病気だけ、苦しさだけが残り。
自分は何のためにやってきたのか。
そんな虚無感にも襲われました。
しかし貴重な経験だったとプラスにとらえようと私は考えています。
これからこの仕事をしようと考えている方がいたら。
若い方にはおススメはしません。
育児を経験されている40代以上の女性でしたら、こういった仕事は出来るのかもしれません。
極端に体力を使うこともない。
(当時20代で学生時代に運動部所属だった私には体力的には楽すぎました。
)
それに雑談は一般的に女性のほうが得意だと思われます。
育児の経験があれば、それは介護と通じる部分が多いため。
応用ができます。
なので、40代以上の女性の方で、ご興味があれば、就職先として検討されるのもありかもしれません。